前の話しを読んでいない方はここからどうぞ。
当時から既に多頭飼いに憬れていた私は、大人しくて奥ゆかしかった滑り台のわんこがそのままなし崩しにウチの子になればいいなぁと思いながら、その日は気もそぞろに下校時間を待っていたと記憶している。
やっと授業が終わり、あのわんこに会いたくて飛ぶように帰宅したのである。
ところが家に帰ってみるとあのわんこがいない。
当時私の両親は共働きであった。
私達が学校へ出かけた後暫らくして、母は滑り台わんこが大人しくて悪戯などをしそうになかったので、そのまま玄関に入れたままにして出勤しようと思ったのだそうである。ところがいざ出勤のために玄関の戸を開けるとその犬はスイッと外へ出て行ってしまったのだそうである。
戸締りをしている間にいなくなってしまい、母につられて玄関を出た感じでもなかったし、とりあえずお尻と尻尾はその時にはもう乾いていたのだし、あの子にはきっと帰る場所があったのだろうとそう母は思い、特に探す事もなくそのまま出勤したのだと説明された私はガッカリである。
すごく気立ての良い賢そうなその子と遊ぶのを楽しみにしていたのに、そんなにあっさり出て行ったという事は、やっぱりどこかの飼い犬だったのだろうか。
ところが数日して、夕ご飯をあげに先代犬の所へ行くと、ウチの犬のではない足跡が、外から先代犬の所まで付いている事に気が付いた。
他所のわんこが傍まで来てるのに先代犬が吠えもしないなんて、きっとあの滑り台わんこに違いない。
あの子は夜になると家に来ているのだろうか。先代犬と仲良しになったんだろうか。
それから一週間近くあのわんこが通ってきているらしい足跡は見られるものの、あのわんこには会えなかったのである。
それでも私は焦らず待つ事にしたのである。
毎日通って来るのであればそのうち会えるだろう。もしかしたら時々先代犬のご飯も分けてもらってるんじゃなかろうか。こんなに毎日来るのなら、信じがたいことだが、きっとあの子に飼い主はいないのだろう。
そんな風に考えて、毎日家へ通ってくるという既成事実の元、なし崩しにあの子をウチで引き取るという展開を夢見ていたのである。
そんなある日、何でかはもう忘れたが、先代犬に夕ご飯をあげるのが遅くなり、もうとっぷりと暗い中ご飯をあげに行った時の事、背後で何かの気配がしたのである。が、後ろを振り返っても門柱の陰になっていて何が、あるいは誰がいるのかよく見えない。
玄関先という場所柄、滅多な事は起こる筈もないのに、さすが子供。怖いという感情が先にたってしまい、「こらーっ!誰だー!!」と怒鳴りつけてしまったのである。
門柱の陰にいたものは、その声に驚いてぱっと身を翻し走っていってしまったのである。
そう。察しのいい皆様ならば感付いていると思うが、そのものこそ滑り台犬だったのである。
門柱の陰から出て街灯のあたる明るい所を素早く横切っていった後ろ姿は、間違いなくあの子だった。
つまり、私はあの子を怒鳴りつけて追い返してしまったのである。
ああ、何てこと!違うの違うの!君に怒ったわけじゃないのよ~と、言った所で時既に遅し。
あの子は本当に賢い子だったようで、怒鳴られた事にショックを受けたのか、自分の訪問は望まれていないと思ったのか、その後二度と家には来てくれなくなったのでした。


感動的な結末を期待していた方、こんな結末ですんません。
その後、あの子の事がずっと気掛かりで、今でも雪に埋もれた滑り台を見るとあの子の事を思い出す管理人に、ポチッとお願い。
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散歩で離してもらって遊びに来てたって
思いたいな~
ちょっと、無理があるかしらね。
しかし、、、犬のしっぽが凍りつくなんて、、
さすが、ほっかいど~はでっかいど~
・・・スミマセン。。

でも戻ってこなかったってことは、他にいるべきところがあったんですよね。きっと。
その後滑り台にいることもなかったのだから、そこは危険ってことも学んだのでしょうし(笑)
どっかで元気にしてるといいですね。
と、ねいねさんにお伺いしたんですけど、最初の絵文字ワンコの端っこってナルトですか!だったら嬉しい~♪

とっても嬉しいです。ウフッ

夜な夜な遊びに来ていたわんこさん。あわさんの家が気に入ったのでしょうね。命を助けて貰ったのがわかっていたのですね。
怒られたと思ったのなら、ホントに賢いわんこさんだったのでしょう。
でも人知れず、先代犬わんこさんと仲良くしていたのではないでしょうか?そう思いましょう。
いいお話だと思いますよ。

この場をお借りしまして、ナルトママさん。ナルト君です。
かわいいので、頂いたのです。ありがとうです。

でも命を助けてくれたあわさんへの感謝の気持ちはきっと
そのわんちゃん…一生忘れずにいたことでしょう。
きっと先代わんちゃんと…密会してたわよ。

『おてんばなお嬢さんだね』なんて
言われてたかもしれませんよ。

でも当時のあわさんの気持ちわかるなぁ~。
そして滑り台を見ると思い出すって…
うん。うん。わかるなぁ~。


そのワンコ「ありがとう」って言いに来たんだね。飼い犬なのでお礼を言って安心して家に帰ったんじゃないのかな?
尻尾が凍る!{{(>_<)}}
北海道ではよくあることなの?驚いた~

お尻が凍ってくっついて動けなくなるなんて、それは北海道ならばでの、お話ですね。
滑り台犬より怒鳴ってしまったあわさんの方がショックだったんだろうなぁ。
切ない思い出ですね。
でも、そのわんちゃん、あわさんに感謝していたと思いますよ。

袖触れ合うも何かの縁・・ってことになるのかと
思ってたんですが それっきりになってしまったんですね。
その子 あわさんにお礼を言いに来たのでしょうね。
多分・・きっと私も同じ立場ならあわさんと同じように
その子が家の子になるか、あるいは毎日遊びに
来てくれるようになるような展開を期待したかも。



ホント、ちゃんと帰る家のあった子なのだと思いたいです。
でも首輪もしてなかったからなぁ。

あ~!!そう!そう!
そうなんです!!
本当はこちらからお知らせしなくちゃいけなかったんですけど、あんまりにも似てなくてお知らせするのもこっぱずかしいと思っているうちに忘れてました

ナルト君のあの柔らかそうな耳を描いてみたかったんですぅ


本当に気立ての良いおくゆかしい感じのわんこさんだったので、あれきり会えなかったのが残念だったんですよねぇ。
もしかしたらもっと時間を遅くして遊びに来てたのかなぁ?

普通、飼い犬でも知らない人間が近付いてきていきなりお湯をかけてきたら、怖がったりパニックになったりすると思うのに、本当に静かにお利口にしていた子で、子供心に『この子、賢い!』って思ったんですよね。
そんな子を結局は助けてやれなかったんじゃないかと思うと、ホント、すっかりおばさんになったこの年まで、心残りなんです。
多分一生心残りなんだろうなぁ。

そんなによくあることではないと思いますよ。
私もあんな風に磔になったわんこを見たのは今のところあの時限りですから。

そうなんです、そうなんです!
凄くショックだったんです!
怒鳴ってしまってから、相手があの子だと分かった瞬間、ヤバイ!マズイ!と思いました。
もの凄い素早さで姿を消したその方向を見て、暫し呆然としてしまいましたよ。

見た目は和犬系のスレンダーな雑種でしたけど、あわ家始まって以来の、もの凄く賢い犬と一緒に暮らせるかもしれないと、それはそれは期待していたんですけどねぇ。
自ら追い払う形になってしまって、本当に残念なほろ苦い思い出です。
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