いつもの犬集会所に行く前に、すれ違ったのである。
レモンも黒柴姐さんも大喜びで、おとなしめの追いかけっこ。2匹ともテンションを上げ過ぎずに、ちょっと追いかけてはすぐにやめ、その辺の臭いをかいでいたかと思うと、また追いかけあっこである。
さすがに一番最初に出来たお友達だけあって、お互いに楽しく遊べるちょうど良いテンションを、2匹とも分かっているようである。
私は飼い主さんに、もう集会所には来ないの?と聞いてみた。
黒柴姐さんは、あの日以来あの場所と、茶柴っ子君ともう1匹の茶柴ちゃんに対して、トラウマになってしまったのだそうである。
あの日家に帰って足を見てみたら、血は出ていなかったがバッチリ茶柴っ子君の歯型が付いていたのだそうである。
それであの日、あんなに悲鳴を上げていた訳ね。
それで散歩の途中で、茶柴っ子君や茶柴さんに出会うと、もう会いたくないという素振りをするのだそうである。
犬集会所も、朝の誰もいないと分かっている時間は大丈夫だけど、夕方の皆が集まっている時間帯には、近くまで来ると、足早にそこから遠ざかろうとするようになってしまったのだそうである。
私はいつものメンバーの中で、黒柴姐さんが一番リーダーの器だと思っていた。レモンだって彼女には一目置いているし。
だが、リーダーの器を持つ犬がちょっとした小競り合いで、相手のわんこや場所がトラウマになるとは考え難い。
優しくてどのわんこにもフレンドリーで賢くても、リーダーになると言うわけではないのだろうか。
4匹だけの仲間で、一番年長者で賢い彼女が何となくリーダーのようになっていたのは、彼女にとってはかなり荷が重かったのかもしれない。
だから、あの小競り合いがあっさりトラウマになっちゃったのかなぁ。
そう言えば、ドッグランでレモンが噛まれてしまった時、あの時はこの場所がトラウマになってはまずいと、気持ちを持ち直して楽しい気持ちになるまで待ったのだが、黒柴ちゃんはあの時、気持ちを持ち直さないまま帰ったんだった。それも拙かったのかもしれない。
恐いとか嫌だという気持ちのまま、その場所を後にするとこんなにてきめんに影響が出るとは。
賢い黒柴姐さんだったから、嫌な場所という認識も素早く彼女の記憶に深く刻み込まれてしまったのだろうか。
昨日もレモンは、ずっと向こうの道を犬集会所には寄らずそのまま歩き去っていく黒柴姐さんを見つけて、じっと見つめていたのである。

黒柴姐さんになかなか会えなくなっちゃって、ちょっと寂しいレモンに、ポチッとお願い。

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