レモンの様子を見ながら、いつものごとく低速運転。
公園の入り口手前で、レモンの足取りが少し重くなり、車即歩行もやや乱れがちになってきたので、これはトイレタイムだなと思い、チャリから降りた。予想通り、歩道の脇にある細い芝生地帯でウンチングタイムである。
お散歩バックから回収袋を取り出し、かがむとどこからか「可愛いねぇ。」という声が聞こえてきた。少し遠い所から聞こえてきたので、最初は誰に言っているのか分からなかったのだが、どうやらレモンの事を言っているらしい。あたりを見回し声の主を探すと見知らぬ爺ぃがこちらを見ていた。どうやら声の主はこの人物のようである。この爺ぃ、かなり交通量のある車道を挟んだ向かい側の歩道からわざわざ声をかけてきたのである。
『いや、今私、回収物をきっちり回収しなければなりませんから。』
内心そう思ったが、レモンにお褒めの言葉を頂いているのだから、飼い主としては愛想良くしておくべきか。そんな事を思いながら軽く会釈した次の瞬間、「そんな可愛い犬に自転車引かせちゃ可哀想だ!かごに入れた方がいい!!」そんな言葉を投げかけられた。
そりゃね、爺さんの言わんとしている事も分からなくはない。
時々自転車の引き運動に向かない犬を引きずるように自転車で散歩している人などもいる。私とて、そんな風に散歩をしている犬飼いを見たら、そんな事してるとわんこの足腰を悪くするよと忠告してやりたい。
だがしかし、レモンはその手のタイプの犬とは正反対の犬である。頭ごなしに自転車の引き運動に向かない犬と決め付けられて、そんな注意をされると、散歩する気も萎えるというものである。全くもって心外な事この上ない。
何とかして体力魔人のレモンが満足できる散歩をと考えて、チャリで散歩してんだよ!!と車道を挟んで説明する気にもなれないのである。
ぞんざいに「はい、はい!!」と返事して、爺ぃが通り過ぎていくのを見送ったのである。
この時は『うるせーな!!この爺ぃ!余計なお世話なんだよ!』と、正直な所思ってしまったのだが、この後のお散歩は当然この爺ぃについて考察する事となる。
この爺ぃはレモンをどんな犬だと思ってこんな注意をしたのか知らないが、見知らぬ人を注意すると余計なトラブルに発展する事のある昨今、こんな風に注意を促がす人も珍しくなった。
犬集会所に於いて、安易にリードを放すのは危険だと注意出来ない私としては、いささかこの爺ぃの言動を“ムカつく”だけでは処理できない何かが残った。
いきなりまるで我が愛犬に対し不当な扱いをしているかの如くな表現には、確かに困惑と苛立ちがあるが、その手前の段階に何故自転車の引き運動が良くないかの説明が入れば、親切な好々爺とも受け取れるんじゃなかろうか。
頭にきたのはコミュニケーション不足のせいであって、車道の向こう側でなかったら、もう少しお互い細かいやり取りが出来たかもしれないと思うのである。
犬の大きさと見た目のイメージだけで“可哀想”と判断されたのなら、敵わないけどね。

犬と歩いていると、色んな人に声掛けられるよね。

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