いつものようにレモンとお散歩。いつものように犬の集まる場所で遊んでいた。
その日はいつにも増して集合率が高く、黒柴、茶柴、ラブ君、シ-ズー、ジャックラッセル、シェルティー、パピヨン、チワワ、ダックスと盛りだくさんの犬種が集まりウハウハだった。
そこに小学校低学年くらいの子供達も数人集まってきたのだが、この子達がまた、偉く犬慣れしていて、以前の少年達より背も低い女の子にまたもやラブ君が飛びついてしまったが、その時もまた倒れるどころかしっかり受け止めすっかりラブ君と仲良くなる少女に、頭を撫でようとして手を出すと唸る茶柴君にひるむことなく、すかさず頭の上にかざした手を返してアゴのほうに差し出す少女、この子は先ほどラブ君に飛びつかれた子よりさらに小さな子なのに感心である。飼い主の方は小さな手を我が子があむっとやってしまわないかとちょっとヒヤヒヤしたと思うが。その女の子たちと背丈のあまり変わらない男の子たちも、落ちてる小枝でダックス君相手にとって来いをさせる等して全体的に楽しい雰囲気であった。
暫らくすると隣のグランドエリアに男の子とその両親と見受けられる一家がやってきて家族そろってキャッチボールを始めたのだが、よく見るとそれはあのキックボード親子である。
その親子、この前のことから犬慣れはしていないと見たが、何故わざわざわんさと犬が集まってる場所のすぐ傍でキャッチボールなんか始めたのだろう。どこで遊ぼうが人の勝手だが、犬があんまり好きではないのなら、普通はもうすでにごちゃごちゃと犬が集まってるすぐ傍で遊び始めたりはしないのではないかと思うが。
グランドエリアと言っても柵などで囲っているわけではなく、犬集会所エリアと小道を挟んですぐ隣がグランドエリアになっているのだが、グランドは広く、その時は野球やサッカーをする少年達もいなかったので、もっとグランドの中央よりに行っても良さそうなものである。
さらに犬慣れした子供達より年齢は上に見受けられるその少年、そのくらいの年の子供って大概同じ年頃の子供と遊んでいるものなのに、何故いつも親と遊んでるのだ?ま、いつもと言っても私が見かけたのはこれが3度目なのだが。
そんな近くでボール遊びなんか始めるから、レモンが気にしだしてしまった。が、運良くたくさんの犬友達に囲まれてレモンは珍しくすぐに他の犬や子供に気持ちを戻してくれた。
はー、良かった。また「この犬、ヤダー」とか言われちゃたまらんもんね。と、思っていたのもつかの間暫らくすると、キックボードファミリーのこぼれ玉がこちらに転がってきた。それを咥えたのは茶柴ちゃんですぐにお返しできたのだが、その時ノーリードだったダックス君がそのボールを追ってキックボード一家の真ん中に突進してしまった。
キックボード少年は怯えて父親の影に隠れたのだが、こういう時悪戯好きの犬は自分を怖がってるなといち早く感づき、怖がってる子をわざと追いかけてみたりするものであったりする。で、少年を追い出したのである。勿論ダックス君の飼い主は慌てて我が子の捕獲に行ったが時既に遅く、少年大泣き。
犬が苦手な人にしてみれば、犬の大きさに関わらずどんな犬でも怖いのであろう。理屈ではそれは良く解っているつもりだが、いかんせん根っから犬が好きでなんだったら犬に噛まれても恨みっこなしだ、犬が悪いわけじゃないと思っている私などは本当の意味で、犬が怖いという人の気持ちを理解する事は出来ないのかもしれない。
しかも相手があのキックボード少年ともなれば心のどこかで『でかした!ダックス君

それでなくても、そこに集まっていたのは老若男女全て犬好きの人々なのでシレ~っとした空気が漂ってしまった。
「ラブ君に追いかけられたんならまだしも、あんな小さな犬なのにねぇ。」と言う人までいた。いかにも“あの子、大げさよね”といった雰囲気。
運が悪かったな、キックボード少年よ。その場の犬飼い率がもう少し低ければノーリードは禁止の公園なわけだし、もっと同情されたのにな。
それにしてもあの親子、そんなに犬が嫌いならなんでこんなに近くで遊び始めたのかが解らない。人も動物である以上、苦手なものからは離れていたいという心理が働くものではないのか?
なんとも不可思議な一家である。

「あの子マザコンなんじゃないの」とまで囁かれてしまったキックボード少年もちょっと気の毒。そんな少年の未来にも幸あれ。ポチッとお願い
